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評論・エッセイ

作家のすべて教えます いまもまだ書き過ぎの日々

 この原稿を書いている今日は三月一日だ。一九九四年もすでにふた月が過ぎたのか、と思うと同時に、今回のこのエッセイのテーマを僕は思いついた。一九九四年の一月一日から二月二十八日までのふた月のあいだに、自分がなにを書いたか、小説だけに限ってふり返りつつ検討を加えてみる、というテーマだ。自分の著作活動を、この二カ月という近過去に限ってふり返るという内容の原稿を書くのは、書き手生活三十年のなかでも、初めてのことだ。
 僕は正月というものを認めていない。特に日本の人たちが気楽に言うような、昨年が十二月三十一日で完全に終わり、一月一日…

『月刊オーパス』一九九四年四月号

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